株式会社アクセルスペース(本社:東京都中央区、代表取締役:中村友哉、以下「当社」)は、2026年9月29日付「AxelGlobe事業の小型衛星「GRUS-3」の不具合に関するお知らせ」において、当社が同年7月7日(日本時間)に打ち上げた小型衛星「GRUS-3(グルーススリー)」7機のうち、4機において、高速通信系統に不具合が確認されたことを受け、高速通信系統の復旧及び予定していた商用運用が困難であるという結論が報告されたことを公表しておりました。その後も原因究明を進めておりましたが、高速通信系統の不具合は恒久故障であり、不具合が確認された4機については予定していた高速通信系統での画像データのダウンロードによる商用運用は困難であると判断いたしました。加えて、推定した不具合の原因や今後打ち上げ予定の衛星に適用する対策の妥当性について客観的な評価を受けることを目的に、外部の専門家を招いた「GRUS-3不具合検証アドバイザリーボード」(以下「本アドバイザリーボード」)の設置を決定しましたのでお知らせいたします。
「GRUS-3」の不具合に関するご報告
(不具合公表までの経緯)
当社は、7月7日に打ち上げた「GRUS-3」7機に対し、7月10日に軌道上での健全性を確認する「クリティカル運用」を完了しました。その後、衛星の姿勢制御や機器の動作確認、システム総合試験などを実施し、予定していた画像データサービスを提供できる状態へと調整する初期運用を開始いたしました。人工衛星の運用では、宇宙環境等の影響や適切でない設定などにより一時的な誤動作が発生することがあります。その際には、機器の再起動や機器の再設定、場合によってはソフトウェアの再プログラミングなど、正常な状態への復帰を図るための復旧運用が行われます。今回の高速通信系統の不具合については、それらの初期運用の一環として正常動作に向けた確認・復旧作業と並行して不具合に関する調査を行っておりましたが、一時的な誤動作ではなく、高速通信系統の恒久故障が疑われ、復旧及び予定していた商用運用が困難であるという結論が報告されたため、9月29日の公表に至りました。
(不具合の原因に対する当社の推定)
本不具合は、撮影した画像データのダウンロードに用いる高速通信系統内の電力増幅器の損傷が発生原因であると推定しております。衛星には、衛星の電圧、温度、位置や姿勢、搭載機器の動作状況(以下、「テレメトリデータ」という。)など、衛星の健康状態を地上で確認し、地上からの指令コマンドを衛星で受信する管制運用のための比較的データ量の小さい情報を送受信する通信系統(以下、「低速通信系統」という。)と、撮影した大容量の画像等のミッションデータを地上局へ高速で送信するための通信系統(以下、「高速通信系統」という。)が搭載されています。高速通信系統では、宇宙から地上までの長距離で高速なデータ通信を行う必要があるため、低速通信系統と比較して、より高い周波数・大きな電力のパワーアンプ(電力増幅器)を用いて高周波信号の電力を増幅した上で、アンテナを通じて地上局へ送信します。不具合が確認された4機のテレメトリデータの分析と地上での検証試験により、今回発生した通信異常は、電力増幅器からの放熱が不十分であったことにより、内部のアンプ素子(電力増幅器内で電力を増幅する役割を持つ電子部品)が異常な高温となり損傷に至ったものと推定しております。
(今後の運用)
高速通信系統については、不具合の生じた電力増幅器で使用しているアンプ素子は、当社の運用する人工衛星「GRUS-1」にも搭載されており、これまで正常に稼働している実績があることから、「GRUS-3」に搭載した高速通信系統に加えた設計変更における放熱設計に課題があった可能性が高いと考えております。不具合が発生していない3機に関しても同様の設計となっていますが、電力増幅器の消費電力を抑制するとともに、通信時間を短縮することで、宇宙空間の真空での電力増幅器の温度の上昇を防ぎながら、商用運用で実施するデータのダウンロードに取り組んでまいります。これらの運用を1機ごとに慎重に行っていく方針としたことから、不具合が発生していない3機についても、目指していた2026年中の商用運用開始予定を2ヶ月延期し、2027年2月からの商用運用開始を目標とすることと致しました。
また、不具合が確認された4機に関しましては、高速通信系統以外の機器は正常であることから、直ちに軌道離脱をするものではなく、低速通信系統により取得可能な画像の提供可能性に関する検討や衛星から得られるテレメトリデータの活用などによる商用活用の実施などの検討を行ってまいります。
これらの問題を受けて不具合の発生した高速通信系統については、今後開発する衛星における改修を行ってまいります。
小型衛星「GRUS-3」は、低軌道上において5年間は地球観測に使用できるよう設計されております。今回の事象を踏まえ、当社の開発におけるプロセスを見直し、今後打ち上げ予定の衛星の品質及び信頼性の向上のため、現時点における最善の策を模索しつつ、小型光学衛星コンステレーションの構築を継続してまいります。
本アドバイザリーボード設置の目的と背景
当社は、「GRUS-3」7機のうち4機で発生した高速通信系統の不具合、及び不具合が発生していない3機の衛星による商用運用開始のスケジュール延期という事実を重く受け止め、当社が行う原因分析、対策等について独立した第三者の視点から意見を求める必要があるとの判断から、本アドバイザリーボードの設置を行うこととしました。本アドバイザリーボードの主な目的は以下のとおりです。
・第三者の視点から、「GRUS-3」4機の高速通信系統の不具合に関する社内の技術要因分析及び今後打ち上げ予定の衛星に適用する対策の妥当性を検証し、関連する技術的・システム的要因について追加の知見を得ること
・第三者の視点から、今回の当社の衛星プロジェクト推進体制について意見を求め、透明性をもって開示することで、株主・顧客・政府をはじめとする、すべてのステークホルダーとの信頼関係を維持すること
本アドバイザリーボードの進め方
当社は、今回の不具合に関する技術情報の整理や原因分析、今後の対策等に関する報告書を取りまとめ、本アドバイザリーボードに提示します。本アドバイザリーボードは報告書に基づき第三者の視点から提言を行い、当社はその提言を受け、必要に応じて追加の調査・試験及び今後の対策のアップデートを実施します。最終報告までの期間は、本アドバイザリーボードの構成委員が確定後、おおよそ1.5ヶ月を予定しています。
なお、本アドバイザリーボードの構成委員は、確定し次第、速やかにお知らせいたします。
本件に関する報道関係者からのお問い合わせ先
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株式会社アクセルスペースホールディングス 経営企画本部経営企画グループ PR&IRユニット
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