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次世代地球観測衛星GRUS-3射場作業|現地レポート【前編】

JUL - 03 - 2026

INTERVIEW

7機はまもなく宇宙へ

人工衛星開発の最終工程は、完成した衛星をロケットの打ち上げ施設のある射場に運び、打ち上げ業者に引き渡す射場作業、いわゆる「Launch Campaign (ローンチキャンペーン)」です。開発メンバーが射場に赴いて作業します。

アクセルスペースが開発する次世代地球観測衛星「GRUS-3(グルーススリー)」の射場作業は、打ち上げ場所である米国カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地で2026年6月に実施されました。現地での活動を報告します。

射場作業までのGRUS-3開発の流れはこちらをご覧ください。
品質を高め、納期を守る | 次世代地球観測衛星GRUS-3開発の流れ

射場作業は衛星開発の最終工程

まず、射場作業について説明します。

射場作業は、射場に運ばれた衛星に対して行う最終作業です。作業完了後は打ち上げを待つ間も含めて、衛星本体に触れることができなくなるため、打ち上げ前の最後の重要な工程になります。

主な作業は次の3つです。
① 衛星の健全性試験
② 衛星の打ち上げ準備
③ ロケットの衛星分離装置との結合

日本国内の開発拠点で完成したGRUS-3のフライトモデル(打ち上げ用の機体)は、米国の射場まで、陸送と空輸を組み合わせて長時間かけて輸送されました。

射場に搬送中のGRUS-3。7機はそれぞれコンテナに収められている(キャリムエンジニアリング株式会社提供)

10人のエンジニアが参加

今回の射場作業には、10人のエンジニアが参加しました。一方で、出発前の作業工程や手順の確認などは社内一体となって準備を進めてきました。

現地派遣チームは、GRUS-3プロジェクトマネジャーをはじめ、衛星のハードウェアおよびソフトウェアの試験や、打ち上げ準備を担う各専門領域のエンジニアで構成されています。中には、打ち上げ事業者との調整を担ってきたメンバーもいました。

出発当日は、当社代表取締役の中村友哉ら経営陣が空港で見送り、「GRUS-3はアクセルスペースにとって重要なプロジェクトの一つです。みなさんの最後のひと手間にかかっています」とエールを送りました。

射場作業に出発するメンバーたち

7機同時打ち上げに向けた並行作業

GRUS-3は、地球の同一地点を1日1回観測できる体制を築くことを目指し、7機の衛星を同時開発してきたプロジェクトです。今回の射場作業でも、7機の衛星に対する作業を限られた日程で並行して進め、完了させることが最大のチャレンジでした。

衛星の健全性試験では、発電をする太陽光パネルや姿勢制御に用いるスタートラッカー、通信のためのアンテナなどの衛星の運用に必要な基本機能を担うバス機器に加え、地球観測ミッションを担う光学センサの検出器などをテストしました。ソフトウェアとハードウェアの両面から、機能や動作に問題ないことを確認しました。

太陽光パネルの健全性試験をするメンバーたち

衛星の健全性試験では、発電をする太陽光パネルや姿勢制御に用いるスタートラッカー、通信のためのアンテナなどの衛星の運用に必要な基本機能を担うバス機器に加え、地球観測ミッションを担う光学センサの検出器などをテストしました。ソフトウェアとハードウェアの両面から、機能や動作に問題ないことを確認しました。

試験以外では、衛星がロケットから分離された直後にメインコンピューターが起動するための設定などを行いました。また、宇宙空間で太陽光パネルによる発電が始まるまでに必要な電力を確保するため、バッテリーを満充電にする作業を行いました。

ここまでの作業を終えると、打ち上げ後にロケットから衛星を切り離す分離装置との結合を行います。約150kgの衛星を1機ずつクレーンでつり上げながら慎重に取り付けました。

最後にフライトピンを抜く

最後の工程として、衛星を打ち上げの待機状態に切り替えるため、フライトピンを抜きます。これにより、宇宙空間でロケットから衛星が切り離されると、衛星が自動的に起動できる状態になります。

フライトピンには「REMOVE BEFORE FLIGHT(飛行前に取り外して)」と記された赤いタグが付けられており、誰が見ても取り外し忘れが発生しないようにしています。ピンを外した後は、その部分に「APPLY BEFORE FLIGHT(飛行前に取り付けて)」を意味するABFプレートを取り付けて蓋をします。

REMOVE BEFORE FLIGHT記されたタグの付いたフライトピン

この作業をもって射場作業は完了です。7機それぞれに対して同様の作業を実施し、1機あたり約2日間で一連の工程を終えることができました。

順調に作業を完了できた背景には、綿密な準備や事前リハーサルの実施に加え、作業を効率化するためのツール導入、そして現地と日本をつなぐチームの連携がありました。

参加メンバーのひとり、電気エンジニアの成田さんは「射場作業では、専門のエンジニアとプロジェクトマネジャーがそろって衛星を前に議論することで、問題があってもすぐに解決し、作業を進めることができました。今後の打ち上げ後の衛星運用でも、この経験を生かしたいです 」と振り返りました。

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