アクセルスペースが2026年に打ち上げる予定の小型衛星GRUS-3(グルーススリー)は、地球上のあらゆる地点を高頻度かつ広範囲に観測できる地球観測衛星です。世界中の人たちに宇宙からの視点をもたらし、さまざまな国や産業での地球観測データ利用を加速させていきます。
衛星は、どのように開発されるのでしょう。GRUS-3の開発の流れに沿って紹介します。
GRUS-3プロジェクトは、7機の衛星を開発し、地球上のあらゆる地点を1日1回撮影できる地球観測体制を築くことが目的です。打ち上げに向けて、以下のステップで開発を進めてきました。
ステップ 1: 設計
衛星の設計は、大きく基本設計と詳細設計の2段階で進められます。
基本設計では、アクセルスペースが開発を進めてきた汎用衛星バスシステム(※1)の設計をベースに、改善点や7機という機数による開発制約の条件を加味して設計を進めました。そして、搭載する望遠鏡で一度に観測する面積や1日トータルの撮影能力を考慮した運用概念(Concept of Opearation)を検討しました。
※1 人工衛星の基盤となる構造や機能を標準化し、異なるミッションで共通して使用できるシステム
この基本設計を形にした試作機がエンジニアリングモデル(EM)です。
ステップ 2: エンジニアリングモデル(EM)の組み立て
EMは1つの試作機のみで、打ち上げには使用しません。実際に組み立て手順などを確かめながら衛星全体を形作り、電気試験と環境試験をして、設計に問題がないかを検証します。
組み立て手順や試験結果を踏まえた改善点を詳細設計に落とし込み、さらに設計の品質を高めていきました。
ステップ3: 試験
電気試験は、衛星の脳みそにあたる電子機器OBC(オンボードコンピューター)が適切な処理を行い、各コンポーネントを管理、制御できるかを確かめるものです。また、コンポーネント間の接続を確認します。
環境試験の一つである振動試験は、ロケットの打ち上げ時の振動に衛星が耐えられる強度であるかを確認します。加振機に衛星を乗せ、水平および垂直方向にさまざまな周波数の振動を与え、ねじにゆるみが発生しないか、内部の機器に破損や異常が発生しないかなどをチェックします。
これらの試験は、GRUS-3のEM1機と、打ち上げ用の本番機であるフライトモデル(FM)7機のすべての機体で実施しました。なお、EMでの振動試験は打ち上げに求められるよりも厳しい条件を課し、基準を超える振動にも耐えられる設計であることを確かめています。
ステップ4: フライトモデル(FM)の組み立て
EMを経て詳細設計を終えたら、実際に宇宙に打ち上げるFMの製造をします。ここから7機の衛星に仕上がっていきます。
現場では、常に複数の衛星が異なる工程で同時に製造されています。例えばある号機の組み立てをしているとき、別の号機は試験を受けており、さらに別の号機は部品の調達を待っている、というような状態です。
重要なのは「1機だけを特別扱いしないこと」。どれも同じように作り上げ、品質を一定に保つことが欠かせませんでした。
ステップ 5: 射場作業
打ち上げ機が完成し、打ち上げ日が近づいたタイミングで、打ち上げ場所に衛星を輸送します。エンジニアも現地に赴き、ハードウェアとソフトウェアそれぞれの最終確認をします。
打ち上げ業者に衛星を引き渡した後、衛星はロケットの先端部にあるフェアリング内部に取り付けられます。その作業が終われば、打ち上げの成功を祈るのみです。
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