地球観測衛星GRUS-3 開発者インタビュー vol.1
2026年に打ち上げ予定の小型衛星GRUS-3(グルーススリー)は、地球上のあらゆる地点を高頻度かつ広範囲に観測できる地球観測衛星です。世界中の多くの人たちが宇宙からの視点を得て、さまざまな国や産業での地球観測データ利用を加速させていきます。
GRUS-3プロジェクトの全体を統括するプロジェクトマネジャー(PM)の仁井田さんに、プロジェクトの全体像を語ってもらいました。
ー プロジェクトのミッションを教えてください。
GRUS-3をアクセルスペースの地球観測衛星コンステレーションに新たに加えることで、高頻度な観測と多用途な運用を実現します。これにより、画像やサービスを拡充してこれまで以上に幅広い分野での衛星利用を促し、宇宙を誰もが真にアクセス可能なものにします。
ー ミッションパッチに込めた思いは?
GRUSの名称は「つる座(Grus)」という星座に由来し、日本発の衛星コンステレーションが鶴の群れのように地球を周回する様子を表しています。
GRUS-3のミッションパッチは、羽を広げた鶴を中心にデザインしており、宇宙に飛び立つ道筋に機数と同じ数の7つの赤いダイヤを描いています。日本から宇宙へ羽ばたいていってほしいという思いを込めました。全社投票で決めたデザインなので、社員それぞれ、思い入れがあると思います。
ミッションパッチは、私たち自身、そして私たちの取り組みを多くの人に知ってもらうためのシンボルです。エンジニア同士の一体感と士気高揚にも役立っています。
地球のあらゆる場所を毎日撮影
ー GRUS-3はどのような衛星ですか?
GRSU-3は小型の地球観測衛星で、光学センサーを搭載しています。光学センサーは太陽の光が反射した地上の様子を撮影し、建造物の大きさや形状、田畑か都市かの区別、植物の活性度などを観測するのに適しています。
GRUS-3は全部で7機あり、地球上のあらゆる場所において、同一地点をほぼ同一時刻に毎日撮影(※1)することができます。1機あたりの観測幅は28.3km、最長観測距離は1,356kmです。7機合わせて一日最大230万km²、およそ日本の国土の6倍の広さを撮影する能力があります。
※1 北緯25度以上の地点において可能
現在運用している地球観測衛星GRUS-1(グルースワン)の後継機として、当社の衛星コンステレーションを拡張します。なお、GRUS-1の初号機は2018年12月、追加4機は2021年3月に打ち上げられました。
ー GRUS-1から何が変わりますか?
光学センサーの観測バンドに、水深が浅い沿岸部の藻場や地形の観測に有効なコースタルブルーを追加します。観測バンドはセンサーが観測できる光の波長(色の範囲)のことで、その衛星の用途を決める要素になります。
コースタルブルーによって沿岸部の観測ができるようになることで、大気中の二酸化炭素を吸収する水中の藻場の判別ができ、吸収量の推定という活用が期待されます。また、海上から被災地に救助に入る際、水深が浅い沿岸部の海底地形の把握もできる可能性があります。
それ以外の観測バンドは、GRUS-1と同様に、人の目で見える赤・緑・青、人の目で見えない近赤外やレッドエッジを搭載しており、フルカラーで直感的に地表の様子を確認できる画像や、植物の生育状況が分析できるデータを取得します。
また、GRUS-3は、提供する画像の品質をGRUS-1から向上させます。
ー 新たにもたらされる価値とは?
観測タイミング、データ量、データの扱いやすさの3つが向上することにより、地球観測がより身近なものになります。GRUS-3は地球観測データを日常生活で普通に使う世の中を実現するために欠かせない存在です。
一丸となって前進を続ける
ー プロジェクトマネジャーとして意識してきたことは?
多様な視点を取り入れることを重視しながらも、「プロジェクトとして達成すべきことは何か」を軸に判断してきました。チーム内や立場によって意見が分かれたり、マネジメント層との議論で方針が再検討されたりする中で、全員が納得して前に進むことの難しさを何度も経験しました。それでも、原点に立ち返ることで、進むべき方向を見失わずに乗り越えてきました。
当社のエンジニアの4割は外国籍で、出身は20カ国以上に及びます。多様なメンバーが同じ方向を向くためには、日ごろからのコミュニケーションが欠かせません。
チームのメンバーは、PMである私の発言を信じて動いてくれます。だからこそ、自身の発言には責任を持ち、一貫性と整合性のある判断を大切にしています。
ー GRUS-3プロジェクトを一言で。
アクセルスペースが一丸となって進めているプロジェクトです。現在も進行中であり、「やり切った」と胸を張れる瞬間まで、チーム全員で前進していきたいと考えています。
関連情報はこちら:次世代地球観測衛星「GRUS-3」7機を2026年に打ち上げ