
アクセルスペースは「AAA」という社内表彰制度を実施しています。AAAには2つの定義があり、一つは会社への功績をたたえるAxelspace Achievement Award、もう一つは日頃の感謝を伝えるAxelspace Appreciation Awardです。各賞はアクセルスペースの行動指針であるAxelspace Wayに基づいています。
この社員インタビューシリーズは、2024年度のAAA受賞者を紹介します。
第1回は、Axelspace Appreciation Awardの「成果出しまくったで賞」に選ばれたAxelLiner事業本部のソフトウェアエンジニア、広田さんです。Axelspace Wayの Celebrate Challenges を体現した働きぶりが社内で評価されました。
広田(Hirota)さん
株式会社アクセルスペース AxelLiner事業本部
汎用衛星プラットフォームグループ 電気プロダクトユニット

小型衛星の記憶を司るシステム
広田さんはソフトウェアエンジニアとして、「ミッションコントローラー(MC)」という小型衛星のシステムを開発しています。MCは、衛星に搭載する望遠鏡などの観測機器、通信機器、センサーなどのミッション機器を管理するものです。ミッション機器で取得したデータを保存し、地上に送るという重要な役割を担っています。
「つまり、衛星の記憶部分です」。宇宙で得られた衛星データが、地球のさまざまな産業分野で価値を生み出すための生命線ともいえます。
広田さんがAAAの「成果出しまくったで賞」に選ばれた理由は、MC変更に大いに貢献したことです。アクセルスペースが地球観測のために運用している衛星「GRUS-1(グルースワン)」のMCは、望遠鏡で撮影した画像データのみを取り扱う設計になっていました。2024年打ち上げの実証衛星「PXYIS(ピクシス)」や2026年打ち上げ予定の次世代地球観測衛星「GRUS-3(グルーススリー)」の開発のため、望遠鏡以外のミッション機器や目的の異なる複数のミッション機器を同時に管理する設計に変更する必要があり、広田さんは2023年の入社直後にこの難易度の高い仕事を求められました。
すでに宇宙空間で稼働しているGRUS-1のMCからの設計変更は、ゼロから新しいシステムを作るよりもハードルが高いことでした。広田さんは1年がかりで、開発チームと連携しながらもほぼ一人で完成させました。
「チームから要求や依頼があったら、どんなに難しそうでもまずは挑戦してみる。中途半端には完成させない。常に100パーセントのものを作りたい」

新しいミッションコントローラーを開発中
広田さんはフランス出身。大学生の時にインターンシップのため京都で半年過ごして日本を気に入り、2018年に来日。日本での生活に馴染むため、結婚相手の苗字である「広田」を名乗っています。前職では配達ロボットや介助ロボットのソフトウェアを開発していました。開発対象がロボットから衛星に変わっても、意識し続けるのは、人の手から離れても自律して行動ができるような設計をすること。
「宇宙は謎だらけだと思っていた。衛星を手掛けて、宇宙は『特別』ではないと気づいた。エンジニアにとっても宇宙はアクセシブル (アクセス可能) です」
現在、広田さんは新しいMCの開発に取り組んでいます。データの保存容量を増やし、データの送信速度を向上させ、衛星の用途が異なっても共通して使用できる汎用システムを数年以内に目指します。いまのMCは設計が複雑で、使用するためには高度な技術が必要です。どんなミッション機器でも衛星に載せられるようにすることで「宇宙だから難しいというイメージを変えたい」と、新たな挑戦に目を輝かせました。